自宅で簡単にできる、失敗しない干し柿の作り方。カビ対策や保存方法、柔らかく仕上げるコツまで詳しく紹介。

🍁 秋の台所から|干し柿について
今年は庭の渋柿が2つしかならなかった。そのせいかはわからないが、甘柿に渋味が出て生では食べられなくなってしまった。
そこで甘柿だったはずの柿を、干し柿にすることにした。
渋柿に比べて水分が多めの甘柿は、干し柿にしても糖度があがらない。そのため干し柿には適さないと言われている。
それでも挑戦してみたら、ほぼほったらかしでも美味しい干し柿になった。
途中、乾燥具合を確かめるために、水分を多く含み、ぷよぷよとした柿をひとつつまんでみた。半熟卵のようなトロッとした果肉が現れ、甘みが口いっぱいに広がった。無燻製の手作りあんぽ柿だ。
手作りなら無添加で、乾燥具合も自由に調整できる。
渋柿でも甘柿でも、ムチッとした硬めの干し柿も、トロッと柔らかいあんぽ柿風も思いのまま。
しっとり甘い焼き芋に続く、秋ならではの贅沢だ。

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🍑 材料 & 道具|柿選びのコツ
材料
- 柿
▶︎ 干し柿用の柿の選び方
- 枝付きの渋柿を選ぶ。甘味は劣るけれど、甘柿でもおいしくできる。
- やや硬めで傷がなく、皮がオレンジ色のもの(品種例:平核無、市田柿、蜂屋柿など)

道具
▶︎ 準備用

▶︎ 干す用
- 物干し竿 または 物干しスタンド
▶︎ 保存用
- 冷凍保存:ラップ、保存袋
- 冷蔵保存:ラップ(新聞紙やキッチンペーパーでも)、保存容器
📖 つくり方
仕込みは晴れた日に。しばらく雨の降らない時期を見計らって。

- 皮をむく
- 枝をT字型に2〜3cm残す
- ヘタを残して柿の皮をむく(ヘタからお尻に向かって縦にむく方法でも、ぐるぐると回しながらむく方法でも◎)
- 傷んでいる部分があれば取り除く
🌿POINT 枝は紐を結ぶ際に必要になるため、必ず残しておくこと。皮は薄くむくほど水分が抜けやすく、乾燥が早い。

- 結ぶ
- 柿の枝部分に紐を巻き、しっかり結ぶ
- 約15cm間隔で結んでいく
🌿POINT 柿同士が干している間に触れ合うとカビの原因になるため、十分な間隔を保つこと。

- 熱湯につける
- 沸騰したお湯を用意する
- 柿を3〜5秒ほどさっとくぐらせる
- 取り出したら皿にのせ、すぐに次のステップへ
🌿POINT 表面を殺菌することでカビの発生を防ぐ。つけすぎると果肉が煮えて乾燥しにくくなるので注意。

- 干す
- 風通しの良い軒下に吊るす
- 柿同士が触れ合わないよう間隔を保ち、2〜4週間ほど干す
🌿POINT 直射日光が適度に当たり、風通しが良い場所が理想的。雨や夜露に濡れるとカビの原因になる。天気が悪い日(雨に当たりそうな日)、黄砂が心配な時は室内に取り込み乾燥を続ける。

- 揉む
- 柿の表面がしっかりと乾いた頃(小さめ: 1~2週間後、大きめ:2~3週間後)、指でやさしく揉む
- 中の果肉を柔らかくほぐすイメージで行う
- その後も数日おきに2〜3回繰り返す
🌿POINT 揉むことで糖分が均一に広がり甘みが増す。力を入れすぎて破れないよう注意。数日おきに向きを変えると全体に均一に乾燥が進む。
※忘れてしまってもおいしくできあがるので心配しなくてOK。

- 保存する
- 好みの乾燥具合になったら、紐から外し保存する。
🌿POINT 柿の大きさや熟度によってできあがりまでの日数が変わる。時々様子を見ながら好みの具合に仕上げるのがポイント(詳しくはできあがりの目安で)。

🗓 できあがりの目安
▶︎ 色や硬さの判断基準
➤ 色の変化
- 最初:オレンジ色
- 途中:茶色っぽく変化
- 完成:濃い茶色、または表面に白い粉が吹く
➤ 硬さ
- 好みの硬さになったら完成
- 表面を押してみて、弾力があれば柔らかめ
- しっかり硬くなっていれば長期保存向き


▶︎ 柔らかさ・硬さ別の食べ頃
今回の甘柿で作った場合を記録(期間はあくまでも目安で):
➤ 半生(あんぽ柿風)
- 干し期間:1・2週間程〜
- 食感:半熟卵のようなトロッとした食感
- 味わい:甘みが口いっぱいに広がる
- 保存:
- 常温:保存2~5日(含水量が多く傷みやすいので、早めに食べきるのが安心)
- 冷蔵:1~2週間
- 冷凍:2~3ヶ月

➤ しっとり柔らか
- 干し期間:3週間程~
- 食感:ムチッとねっとりした食感
- 味わい:甘みと風味のバランスが良い
- 保存:
- 常温:1〜2週間
- 冷蔵:1か月前後
- 冷凍:3〜6か月

➤ しっかり乾燥
- 干し期間:3〜4週間以上
- 食感:噛みごたえのある硬めの食感
- 味わい:濃厚で凝縮された甘み
- 保存:
- 常温:1〜3か月
- 冷蔵:3〜6か月
- 冷凍:6か月〜1年

🌿POINT(干し期間について)
柿の大きさや熟度によって完成までの期間が変わる。
特に甘柿は水分量が多く時間がかかる。
大きめ・水分が特に多めのものは1ヶ月干しても半生状態、小さいものは2〜3週間でしっかり乾燥する。時々様子を見ながら好みの具合に仕上げる。
※ 甘柿が渋柿になったもので作る場合、あまりに早い段階で食すと渋みが残っていることがあるので注意。乾燥が進めば渋みは消えていく。
▶︎ 白い粉(柿霜)とカビの見分け方
- 白い粉(柿霜):糖分の結晶。全体に均一、サラッとして甘い香り
- カビ:緑・黒・灰色の斑点、ふわふわ質感、一部だけに発生
🌿POINT
白い粉は良質な証。迷ったら香りと質感で判断を。
🫙 干し柿の保存方法
➤ 常温
- 方法:容器に入れて冷暗所へ
- 期間:2日〜3ヶ月(乾燥度による)
🌿 POINT
常温で保存する場合、保存中に容器に水滴がついていないか時々確認する。カビの原因になるので注意。
➤ 冷蔵
- 方法:1個ずつラップで包み容器へ
- 期間: 1〜6ヶ月(乾燥度による)
➤ 冷凍
- 方法: ラップで包み保存袋へ(空気を抜く)
- 期間: 2ヶ月〜1年
- 食べ方: 自然解凍 / 半解凍でシャーベット風 / 凍ったまま薄切りも◎

📘 キッチンノート|作り方のコツ & 小さな知恵
- 干す場所:軒下など、雨と夜露を避けつつ風通し重視
- 吊るし方:枝にしっかり結び、柿同士が触れ合わないように
- 天候の調整:晴天続きなら乾燥が早い。湿度が高い日は室内へ(カビに注意)
- 仕上がり調整:
- 半生で止める→あんぽ柿風
- 表面が乾いてから揉む→糖分が均一に広がる
- 数日ごとに向きを変える→乾燥が均一に進む
- カビ対策:柿の熱湯消毒、風通し、雨の日の取り込みが基本

📚 メモ|Q&A
途中で軽く揉む回数が少なかったり、干す期間が長すぎたりすると硬く仕上がることがある。水分の多い柿を使うと、自然に柔らかさが出やすい。
白い粉(柿霜)は糖分の結晶で、安心して食べられる。全体に均一にふき、さらりとした質感なら良質な干し柿の証。カビは色や質感、においで判断する。
白い粉(柿霜)は出る場合と出ない場合がある。気温や湿度、干す期間、柿の糖度によって結晶化しにくいことも多い。粉が出なくても、十分に乾燥していれば品質に問題はない。表面がしっかり乾き、異臭やカビがなければ安心して食べられる。
刻んでヨーグルトやサラダに混ぜたり、パン、焼き菓子の甘味として活用できる。お湯で軽く戻すと柔らかさが戻る。
一般的には2〜4週間ほど。柿の大きさや天候、湿度によって前後し、好みの硬さになった時ができあがり。
十分に乾燥していないと渋みが残ることがある。甘柿でも未熟な場合は軽い渋みを感じることがあるので、好みの硬さになるまで干し続ける。
焼酎がなくても干し柿は作れる。熱湯で表面を消毒し、風通しのよい場所で乾かせば十分。より強い殺菌効果を求めるときや、湿度が高い時期には、焼酎を使う方法も考慮する。
表面をさっと殺菌してカビを防ぐため。3〜5秒ほどくぐらせる程度でOK。長くつけると果肉が煮えてしまうので注意。
茶色〜黒っぽく変化するのは自然な過程で問題ない。異臭がなく、カビでなければそのまま食べられる。
A. 風通しが悪かったり、湿気がこもるとカビが出やすい。干す前の熱湯消毒・雨の日は室内に取り込む・乾燥具合をこまめに見る、などの小さな工夫で防げる。

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✏️ レシピカード|分量・作り方のまとめ

干し柿の作り方|失敗しない基本レシピ
Equipment
- 包丁またはピーラー
- 鍋
- 紐
- 物干し竿または物干しスタンド
Ingredients
- 柿 枝付きの渋柿または甘柿 適量
- 熱湯 適量
Instructions
皮をむく
- 枝をT字型に2〜3cm残す
- ヘタを残して柿の皮をむく(ヘタからお尻に向かって縦にむく方法でも、ぐるぐると回しながらむく方法でも◎)
- 傷んでいる部分があれば取り除く
結ぶ
- 柿の枝部分に紐を巻き、約15cm間隔でしっかり結ぶ
熱湯につける
- 沸騰したお湯を用意する
- 柿を3〜5秒ほどさっとくぐらせる
- 取り出したら皿にのせ、すぐに次のステップへ
干す
- 風通しの良い軒下に吊るす
- 柿同士が触れ合わないよう間隔を保ち、2〜4週間ほど干す
揉む
- 柿の表面がしっかりと乾いた頃(小さめ:1〜2週間後、大きめ:2~3週間後)、指でやさしく揉む。中の果肉を柔らかくほぐすイメージで
- その後も数日おきに2〜3回繰り返す
保存する
- 好みの乾燥具合になったら、紐から外し保存する
Notes
- 枝は必ず残す: 紐を結ぶ際に必要。皮は薄くむくほど水分が抜けやすく、乾燥が早い
- 間隔を保つ: 柿同士が触れ合うとカビの原因になる。15cm以上の間隔を保つ
- 熱湯は短時間: 3〜5秒でOK。つけすぎると果肉が煮えて乾燥しにくくなる
- 揉むタイミング: 表面が乾いてから。揉むことで糖分が均一に広がり甘みが増す。忘れても美味しくできるので心配不要
- 干す前の熱湯消毒が重要
- 風通しの良い場所を選ぶ
- 雨や夜露に当てない
- 湿度が高い日は室内に取り込む
- 黄砂が心配な時も室内へ
- 半生(あんぽ柿風): 1〜2週間、トロッとした食感
- しっとり柔らか: 2〜3週間、ムチッとねっとり
- しっかり乾燥: 3〜4週間以上、噛みごたえあり
- 柿の大きさや熟度によって完成までの期間が変わる。
- 特に甘柿は水分量が多く時間がかかる。
- 大きめ・水分が多めのものは1ヶ月干しても半生状態、小さいものは2〜3週間でしっかり乾燥する。
- 時々様子を見ながら好みの具合に仕上げる。
- 常温: 1〜3ヶ月(しっかり乾燥したもののみ、密閉容器で冷暗所へ)
- 冷蔵: 1〜6ヶ月(ラップで包んで容器へ)
- 冷凍: 2ヶ月〜1年(ラップで包み保存袋へ、半解凍でシャーベット風も◎)
- 白い粉(柿霜): 糖分の結晶。全体に均一、サラサラ、食べられる
- カビ: 緑・黒・灰色の斑点、ふわふわ質感、一部のみ発生、食べられない
🍂 おわりに
でき具合を確かめたくて、ひとつまたひとつと口に運んでいるうちに、気づけば思った以上の数を食べてしまう——そんな干し柿作り。
去年も今年も、天気や柿の水分量で仕上がりが違う。きっと来年もまた別の姿になる。
同じようで同じじゃない、当たり前のない季節の変化を、ただゆったり楽しみながら続ける秋の手仕事。
さて、干し柿が終わったら、次は干し芋作りだ。













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