梅仕事初心者でも安心して作れる韓国梅エキス(メシルチョン)の作り方です。

春が終わり、梅雨が近づくころに出回る青梅。6月になると、韓国の市場やマートでは「メシルチョン(매실청)」を仕込むための青梅と砂糖がずらりと並びます。
韓国では、メシルチョンは梅エキス入りの甘いシロップとして、水や炭酸水で割ってドリンクにしたり、和え物や煮物に使ったりと、家庭で一年中活躍する万能調味料です。
この記事では、
- 韓国梅シロップ(メシルチョン)の基本的な作り方
- 日本の梅シロップとの違い
- 漬けたあとの残り梅の活用法
- カビ・過発酵や保存の注意点
について、できるだけわかりやすく紹介します。簡単に作れて長期保存もできるので、ぜひ季節の手仕事として楽しんでみてください。
梅を使ったレシピをお探しでしたら、梅仕事レシピまとめもオススメです。梅シロップの残り梅や梅シロップを活用したレシピも紹介しています。合わせてぜひご覧ください。
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韓国の梅シロップ「メシルチョン」とは?
韓国語で「매실(メシル)」は梅、「청(チョン)」はシロップを意味します。つまり、メシルチョンは青梅を砂糖と一緒に漬け込み、梅のエキスを抽出した発酵シロップのことです。
発酵といっても、味噌やキムチのような強い発酵臭や酸味があるわけではなく、梅と砂糖の浸透圧で果汁が引き出される過程で、自然な発酵がゆるやかに起こります。正しく管理すれば、カビや過度なアルコール発酵の心配は少なく、安全に美味しい梅シロップを楽しむことができます。
日本の梅シロップとの違いは?|発酵・砂糖の使い方の違いも解説
どちらも基本的に青梅と砂糖で作る保存食ですが、「韓国のメシルチョン」と「日本の梅シロップ」には製法・保存の考え方・使い方に違いがあります。簡単な表にまとめましたので、ぜひ両者を比較して、自分に合った梅シロップ作りを楽しんでください。

上:韓国梅エキス 下:日本の梅シロップ(チャイスパイスを加えたチャイ梅シロップ)
比較項目 | 日本の梅シロップ | 韓国のメシルチョン |
---|---|---|
梅の処理 | ヘタを取るのみ | ヘタ+切り込みを入れる |
抽出方法 | 梅を丸ごと漬ける | 包丁などで果肉に切り込みを入れ、より濃く抽出 |
アルコール発酵対策 | 冷蔵庫で保存 or 梅を凍らせる | 清潔さと比率管理で常温でも安定抽出 |
仕上がり | すっきりした甘み | 複雑でコクのある深い味わい |
残り梅の状態 | 皮だけが残りがち | 果肉感が残り再利用しやすい |
💡どちらを作るか迷われる方へのちょっとしたヒント: 韓国では梅に包丁で切り込みを入れることで、エキスがより早く、そしてしっかりと抽出されるのがポイントです。そのため長期間熟成させていてもアルコール化しにくいという特徴があります。その点で、梅仕事初心者の方には韓国梅エキス作りはとてもオススメです。また私の大好きなレシピチャイ梅シロップもホールスパイスの抗菌作用のおかげあってか、アルコール化しにくいのが特徴です。こちらも梅仕事初心者の方にはオススメのシロップですよ。
材料と道具

材料:
- 青梅 (傷のあるもの、傷んでいるものはその部分を包丁で取り除けばOK) … 1kg
- 砂糖(きび砂糖・三温糖・グラニュー糖・上白糖など好みのもの) … 1kg
道具:
- ゴム手袋(皮膚が弱い方は推奨)
- 包丁
- 熱湯またはアルコール消毒・乾燥済の密閉保存容器(梅と砂糖が入るサイズ/ガラス瓶やホーロー)
- 竹串または金属串(ヘタ取り用)
梅の切り込みは必要?|金属製の道具について
梅仕事でよく上がる疑問が、使用する道具について。
韓国式メシルチョンでは、梅に包丁で切れ目を入れたり、種を取り除いて作るのが基本のため、金属の使用が避けられない場合があります。一般的には「酸で金属が溶けて風味が変わる」といった懸念から、金属を避けることがあります。ただ我が家では毎年次のように配慮して金属製の道具(包丁・BBQ串)で梅仕事をしています:
- 使用後はすぐに洗浄!
- 使用時間を短く!
- 梅と触れたまま長時間放置しない!
もし心配な方は、セラミック包丁やプラスチック製の道具も選択肢に入れてみるのも◎。予算や使用頻度を考えて選んでみるのもいいですね。
スムーズな梅のヘタ取り方法
作り始める前に、へた(へそ)の取り方のちょっとしたコツをご紹介します。時間がかかるヘタとりも以下の方法だと割とスムーズに進みますよ。

串をヘタのヘリにぐっと差し込みます。

そのまま串をクイっと上に持ち上げます。

簡単にヘタが取れました!
韓国梅エキスの作り方
では準備が整ったところで、早速仕込んでいきましょう!

- 青梅の下処理: 青梅はできるだけ傷がないものを選び、水で優しく洗います。よく乾かしてから、ヘタ(へそ)を竹串または金属串でとり、包丁で梅に切り込みを入れます(十字に1周、または数か所の切れ目でOK)。

- 漬け込み: 殺菌・乾燥した瓶に、青梅と砂糖を交互に重ねて入れていきます。最後は表面が砂糖で覆われるようにするとカビ防止になります。

- 発酵と保存: 常温で約100日間漬け込みます。涼しい日の当たらない場所に置いて、砂糖が溶けきるまで、毎日または2-3日おきに状態をチェックします。瓶を揺すって梅が常に砂糖で覆われている状態を保ちます。もしいつまでも砂糖が溶け切らない場合は、清潔なスプーンなどを使ってよく混ぜ、砂糖を溶かし切るようにします。

残り梅のおいしい活用術
カリカリ梅のような食感の残り梅ができるのが韓国梅エキスの特徴。せっかくなので余すことなく美味しくいただきましょう!ここでは、この美味しい残り梅の「おすすめ活用術」を3つご紹介します。

- 梅ジャムを作る:お砂糖を加えて梅ジャムを作ります。わたしのオススメは、カシス風ブルーベリー梅ジャムです。このジャムを食べると一般的なブルーベリージャムは味気なく感じてしまうほどクセになるジャムです。
- コチュジャン和えを作る:シンプルにコチュジャンで和えて瓶に保存し、ご飯のお供にします。甘辛いタクアンのような感覚でポリポリ感が◎ タクアンのように海苔巻きに入れても美味しいですよ。
- そのままいただく: もちろんそのままいただいても!また、天日干ししてドライフルーツにしても噛みごたえのあるおやつになって👍
韓国梅エキス(メシルチョン)の使い道とアレンジ
メシルチョンは単なるシロップではなく、料理やドリンク、調味料としても大活躍。韓国では毎日のように使われる万能エキスです。ここでは家庭で簡単に試せる「おいしい活用例」をいくつかご紹介します。
- メシルエード: 炭酸水でメシルチョンを割れば夏にピッタリの爽やか梅ドリンクに。
- メシル茶: 消化を助けてくれる救世主。シンプルにメシルチョンをお湯割にするだけ。
- 韓国料理に: プルコギや豆腐ステーキのマリネ液や、ナムルや和え物の隠し味に
- サラダのレッシングに: 砂糖の代わりにメシルチョンを使えば、さっぱりドレッシングの完成!
- ヤンニョムジャンに: 梅シロップで作るさっぱりヤンニョムジャン(양념장)を、焼きナスや冷奴にかけて。
- デザートに: ヨーグルトや、かき氷のシロップとして。
カビ・発酵・アルコール化のご指摘と修正について
読者の方から、以下のようなコメントをいただきました:
メシルチョンは発酵させるものでは?
ご指摘いただきありがとうございます。
メシルチョンには自然発酵の工程が含まれており、伝統的な作り方では発酵を活かすことも大切なポイントですね。
当記事では、梅仕事が初めての方でも安心して取り組めるよう、「カビや過度なアルコール化のリスクを抑える方法」に焦点を当ててご紹介しておりましたが、説明がやや不十分でした。
特に、当初の表現「発酵の心配がない」という文言について、「発酵=アルコール化やカビのようなトラブル」と捉えて書いていましたが、誤解を招く表現となっていたため、現在の「自然な発酵がゆるやかに起こる」という記述に訂正しました。
いただいたご意見を踏まえて、該当の全ての表現を見直し、より丁寧にお伝えできるよう修正いたしました。
今後も読者の方々にとってわかりやすく、安心して参考にしていただける情報提供を心がけてまいります。コメントをお寄せいただき、本当にありがとうございました。
よくある質問|発酵やカビなど気になることまとめ
お砂糖代わりに調味料としていろいろな料理に使います。キムチやナムルを始め、タレや煮物などどんな料理にでも使うことができます。また、肉や魚の臭み消しにも使われています。
メシルチョンは砂糖の浸透圧によって水分とエキスを引き出すことで発酵が進みますが、正しい分量(青梅:砂糖=1:1)と保存状態を守れば、アルコール化は起こりにくいです。もしアルコール臭が強くなってきた場合は、早めに梅を取り出し、シロップを加熱処理し、煮沸瓶に詰めて殺菌保存するとよいでしょう。あるいは非伝統式とはなりますが、冷蔵庫に入れて発酵を抑えながら熟成させる方法(非発酵式)を採用するのも良いでしょう。ただしこの方法を採用すると、仕上がりまでにより時間がかかります。
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レシピカード

手作りメシルチョン|韓国梅エキス(シロップ)のレシピ
Equipment
- 保存容器 果実酒瓶 3L (東洋佐々木ガラス)
- 保存容器 梅酒用ビン 930ml (東洋佐々木ガラス) 小分け用に使いやすい保存瓶です
- 竹串 or BBQ用串
- キッチンペーパー
- 包丁
- 穴あきお玉
Ingredients
- 梅 青梅 1 kg
- 砂糖 好みのものでOK。このレシピでは素焚糖を使用。 1 kg
Instructions
- 切れ目を入れる: 梅は洗ってよく乾かしてから、ヘタをとって3-4ヶ所に包丁で切れ目を入れる。1 kg 梅
- 仕込む: 梅→砂糖→梅→砂糖...の順で層になるように保存容器に詰めていく。最後は砂糖で蓋をするのを忘れずに。1 kg 砂糖
- 寝かせる: 仕込んだ日から約100日間冷暗所で寝かせる。数日すると砂糖が溶けて液化してくる。そのとき、底に砂糖が溜まっている場合は、清潔な箸やスプーンでよく混ぜて砂糖ができるだけ早く溶けきるようにする。
- 梅を取り出す: 約100日後、穴あきのお玉を使って梅を取り出す。できあがった韓国梅エキスは、すぐに使う分だけ小さい瓶に移して冷蔵庫で保存し、大瓶は引き続き冷暗所で保管し熟成をつづけるとよりまろやかな仕上がりに。
Notes
- 青梅は、傷のあるもの、傷んでいるものはその部分を包丁で取り除けばOK
- 金属製の道具は梅の酸に弱いので、使ったらすぐに洗うようにすること。
- 梅雨時期の中でもカラッと晴れた日に仕込むと梅を洗った後もさっと乾きやすく、仕込んでいても気持ちが良い。

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まとめ
メシルチョンは、ほんの少しの手間と時間をかけることで、季節の恵みを1年中楽しめる万能シロップ。発酵や保存に多少の注意は必要ですが、基本のポイントを押さえれば、誰でも簡単に美味しく仕上がります。
季節の手仕事として、ぜひ楽しんでみてくださいね!
日韓夫婦 says
え?メシルチョンは発酵させるものですよ?
いい加減な情報は流さないように。
Vegin Vegan Vegun! says
ご指摘ありがとうございます。
メシルチョンには自然発酵の工程が含まれており、伝統的な作り方では発酵を活かすことも大切なポイントですね。
当記事では、梅仕事が初めての方でも安心して取り組めるよう、「カビや過度なアルコール化のリスクを抑える方法」に焦点を当ててご紹介しておりましたが、説明がやや不十分でした。いただいたご意見を踏まえて、該当の表現を見直し、より丁寧にお伝えできるよう修正いたしました。
今後も読者の方々にとってわかりやすく、安心して参考にしていただける情報提供を心がけてまいります。コメントをお寄せいただき、本当にありがとうございました。
Vegin Vegan Vegun! says
質問やコメントお待ちしています♪