完熟梅で作る「梅干し」のレシピ。梅・塩・ホワイトリカーで作る塩分15%の梅干しは、手作りならではの塩加減。赤シソは使用せず、自然の淡い梅色を楽しむレシピ。

🍁 秋の台所から|コラム
9月末、今年の梅仕事がようやく終わりを迎えた。今年は塩分10%の減塩梅干しにも挑戦し、例年よりたくさんの梅を仕込んだ。
そのせいで、天日干しが追いつかなかった。
いつの間にか土用の丑の日をすぎ、秋になって日差しが和らいだころ、晴れ間の続く日を見つけては干し、また干し...といった作業を繰り返した。
秋干しの魅力は、炎天下の中梅干しを干すよりも、心穏やかに淡々と作業できること。じっくり梅の様子を観察しながら、好みの具合に干しあげる。
穏やかな日差しと、乾燥した空気で、梅もゆるやかに乾燥していく。梅もしっかり漬かっているから、皮が網について破れることもなく、プレッシャーも少ない。
できあがった梅は、酸味が穏やかで、ふっくらやわらか。
作ってすぐに食べてもとってもおいしかった。
どうしてもっと早く秋干しを試さなかったかな、と後悔してみたり。
来年からはこの秋干し梅干しが私の梅仕事の定番になりそうだ。

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🌸 この梅干しの特徴
- 材料は完熟梅と塩、ホワイトリカーだけのシンプルなレシピ。
- 出きあがった梅は常温保存可能。
- 仕込み期間も常温でOK。

🍑 必要な材料 & 道具
▶ 材料
- 完熟梅 : 必ずよく熟れたもの。硬いもの青梅は梅酢が上がりにくく、カビ発生の原因に。梅の追熟の仕方はキッチンノートで。
- 粗塩 : 精製塩ではなく、ミネラルを含むものを。梅の重さの15-18%量を目安に。詳しくは大事な塩のことで。
- ホワイトリカー / 焼酎:梅酢が上がりやすくなる。去年の梅干作りでとれた梅酢でも。

詳しい分量は一番下のレシピカードで確認を👇
▶ 道具
◯ 覚えて置きたいポイント
- 酸に強い容器(陶器・ガラスなど)を使うこと。
- また金属製の包丁や器具は使ったらすぐに洗うこと。
◯ 必要な道具リスト
- ボウル (梅を洗う用)
- 皿またはザル (梅を乾かす用)
- 大きめの容器 (梅を漬ける用)
- 重石 (皿など)
- 包丁
- ヘラ
📖 つくり方
🕊始める前に: 使用する容器や道具は、焼酎 / ホワイトリカーを振りかけてキッチンペーパーなどで拭き取りよく乾かしておく。カビ防止に大切な工程のひとつ。

- 洗う
- 完熟梅は水で優しく洗い、表面の汚れを落とす。

- 乾かす
- 皿やザルに梅を移して、よく乾かす。
- キッチンペーパーで水分を拭き取ると乾きが早い。

- 削ぐ
- 傷んでいる部分を包丁で削ぎ落とす。
- ヘタも竹串や包丁の先などでとり除いておく。

- まぶす
- 梅を大きめの容器に入れる。
- まずホワイトリカーをまんべんなくまぶす。
- そのあとに塩を加える。

- 混ぜる
- ヘラを使って、塩が梅の表面にしっとりとまとわりつくまで優しくよく混ぜる。

- 重石をする
- 梅の分量の1-2倍の重石をのせ、冷暗所で保管する。
- 梅酢が上がり切るまでは一日に一回やさしく混ぜて、上下の梅を入れ替える。
🌿 梅酢があがり切るのは、早ければ一日。遅くても3日までにはしっかりと上がり切ることが多い。

- 待つ
- 梅酢が上がりきったら、重石を半分の量に減らす。
- 7月20日から8月7日頃の夏土用(年間で最も暑く、日差しが強い時期)まで漬け込んでおく。
- 柔らかい梅は長めに漬けて、皮がしっかりしてきた頃8月下旬や9月に干すといい。
🌿 梅をつけ始まってから少なくとも1ヶ月ほどつけると、塩が梅の実に行き渡り、皮がしまってくる。その時までじっくりと待つのがポイント。

- 干す
- 1日目・2日目は夜は室内へ。
- 3日目の夜は軒下に出したまま夜露に当てると、しっとり皮が柔らかく仕上がる。
🌿 干す間は、梅一粒一粒の表面をまんべんなく乾かすため、上下をひっくり返すことを忘れずに。朝外へ出すときにひっくり返すと、網からはがれやすく、皮が破けるのを防ぐことができる。

- 保存する
- 4日目の朝に、干し終えた梅を清潔な保存容器に移して常温で保存する。
- 1ヶ月ほど熟成させたらできあがり(すぐに食べることもできるが、熟成させると塩気がマイルドに)。
🌿 保存容器は陶器やガラス製がおすすめ。

📌 保存のコツ
- 完成した梅干しは 常温で保存可能。
- 容器は酸に強い陶器やガラス製がおすすめ。金属製の容器や蓋は酸に弱いため、長期間の保存には不向き。
- 梅酢も瓶に保存して、料理に活用でる。※ 梅酢が瓶の蓋に触れる場合は、ラップやシールで保護すると安心。
🫙 大事な塩のこと|量 & 選び方
▶ 塩の量の決め方
このレシピでは塩の量は15-18%で調節している。塩の量が多いほどカビ予防になり、長期保存がしやすくなる。
仕込む地域の気温や湿度、保存環境、梅の状態によってカビ発生のリスクは変わってくる。
初めて梅仕事に挑戦する場合は、18-20%の塩分量で作ってみて、慣れてきたら減塩梅干しに挑戦してみるのがオススメ。
もし梅がたくさん手に入る場合は、塩分量や使う塩の種類を変えて、数種類の梅干しを仕込むのも手作りならではの楽しみ。
▶ 塩の選び方
梅干しづくりには、精製塩ではなく「粗塩」や「自然塩」を。
自然塩はナトリウムだけでなく、カリウム・マグネシウム・カルシウムなどのミネラルを含み、味にまろやかさが出る。
- 精製塩(ナトリウム99%以上) → しょっぱく尖った味
- 粗塩・自然塩(ナトリウム約85〜95%) → まろやかで旨味がある
特に「海水塩」や「天日塩」など、ナトリウム含有量85〜90%前後のものがバランスが良くおすすめ。
📘 キッチンノートより|梅酢を上手に上げるために
梅干し作りで重要なのが「梅酢をいかに早くあげて、カビの発生を防ぐことができるか」。
そのためのポイントは次の3つ:
❶ 梅は完熟梅を
まだ未熟な青い梅、硬い梅は梅酢が上がりにくい。だから必ず完熟梅を使うこと。
完熟前の梅は、以下の方法で追熟を:
- 梅同士が重ならないように皿やザルに並べる。
- 風通しの良い冷暗所において数日待つ。
- 余裕があれば、一日に一回上下をひっくり返すと、湿っぽくならずにすむ。

❷ 梅に塩の雪化粧を
梅と塩を合わせたら、塩が「しっとり・しっかり」梅にまとわりつくまでヘラで優しく混ぜる。そうすることで梅酢が上がりやすくなり、カビも生えにくくなる。

❸ 重石の量
重石の量は1-2倍が目安。梅酢が上がりにくい場合は、重石の量を増やすといい。
また、重石はできるだけ梅全体に均等な重さがかかるよう工夫する。そうすることで梅酢が早く上がりやすくなる。
試しに重石なしでも作ってみたけれど、傷梅を使ったせいもあってか梅酢がかなり濁った。キレイな梅酢がほしければ、重石はあったほうがいいよう(詳しくはQ&Aで)。
📚 梅仕事メモ|記録とこれから(Q&A)
傷がついている梅も使うことができる。
傷んだ部分は深めに削ぎ落として(変色がなくなるまで)漬ければOK。
注意したいのは、傷を削いだ梅は、漬けている間も、天日干しの間も実が崩れやすいということ。一方で、梅酢があがりやすいという利点も。
一長一短だから、その年の気分や忙しさによってどうするか選ぶのがいい。
また傷梅を使う場合は、傷梅だけをまとめて漬けると失敗が少なくて安心。
もしくは傷梅を、手作りの完熟梅ジャムにして楽しむという手も。夕日色の梅ジャムは、見ているだけでも元気をもらえる。冬の心の栄養剤に。
塩を減らすとカビやすくなり、常温保存が難しくなる。だから、10%に減塩した梅干し作りは冷蔵庫で漬けるのが安心。詳しくは10%減塩梅干の作り方を参照。
大樽に「重石なし・18%の塩分濃度・常温放置」で漬けてみた。
朝夕と容器をゆすって、梅酢がまんべんなく行き渡るようにした。できないことはないけれど、梅酢の上がりが遅いから、カビでないか心配で気が気でなくなる。
もしそれでもよければ、試してみるのもあり。できあがった梅干しは、手間をかけたおかげあってか問題なく美味しくできあがった。
夜露に当てるというのは、完全に屋外に置いて夜露にあてるのではなく、軒先や屋根のある場所で一晩外気や朝露に触れさせるという意味。
こうすることで、梅干しの皮がしっとり柔らかく仕上がる。
梅の状態によっては夜露に当てずとも、保存中に自然と蜜(しっとり感)が戻ることもある。そのため、必ずしも夜露に当てなくてはいけない、というわけではない。好みで選んでみて。
梅干しを干している段階で、写真のように粉が吹いたように見えるのは塩の結晶。
特に傷梅の傷を取り除いた部分に現れやすい。
もしふわふわした白いものを見つけたら、カビの可能性があるため、よく観察しながら干し上げる。
✏️見分け方のメモ
塩の結晶:白っぽく粉がふいたように見え、触るとサラサラしている。主に削いだ部分や塩が多く残った箇所に出やすい。
カビ:ふわふわ・モコモコとした繊維状、もしくは灰色〜緑色〜黒っぽい色味がある場合は要注意。
もしふわふわした白いものや色がついたものを見つけたら、カビの可能性があるためその部分を深めに切り取り、周囲をよく観察。広範囲ならその梅は破棄を検討する。
カビの疑いがある場合は、触れた道具や手をすぐ洗い、周囲の梅の状態を頻繁にチェックする。
🧺 そのほかの梅仕事レシピは...
来年の梅仕事の参考に:
☀️ 梅干を使ったレシピは...
食欲がない時にも食べられるように作ったヴィーガンレシピ:
🌱 梅酢を使ったレシピは...
あまった梅酢を有効活用したヴィーガンレシピ:
✏️ レシピカード|分量・作り方のまとめ

基本の梅干しの作り方|塩分15-18%・常温保存も◎
Equipment
- ボウル 梅を洗う用
- 皿またはザル 梅を乾かす用
- 大きめの容器 梅を漬ける用
- 重石 皿など
- 包丁
- ヘラ
Ingredients
- 完熟梅 500 g
- 粗塩(梅の重さの18%の場合) 塩分は梅の重さの15-18%で調節可 90 g
- 焼酎(またはホワイトリカー・35度以上) 梅酢でも◎ 大さじ 2
Instructions
梅の仕込み作業
- 下準備:使用する容器や道具は、焼酎 / ホワイトリカーを振りかけてキッチンペーパーなどで拭き取りよく乾かしておく。カビ防止に大切な工程のひとつ。
- 洗う:完熟梅は水で優しく洗い、表面の汚れを落とす。500 g 完熟梅
- 乾かす:皿やザルに梅を移して、よく乾かす。キッチンペーパーで水分を拭き取ると乾きが早い。
- 削ぐ:傷梅は、傷んでいる部分を包丁で削ぎ落とす。ヘタも竹串や包丁の先などでとり除いておく。
- まぶす:梅を大きめの容器に入れる。まずホワイトリカーをまんべんなくまぶし、そのあとに塩を加える。大さじ 2 焼酎(またはホワイトリカー・35度以上)90 g 粗塩(梅の重さの18%の場合)
- 混ぜる:ヘラを使って、塩が梅の表面にしっとりとまとわりつくまで優しくよく混ぜる。
- 重石をする:梅の分量の1-2倍の重石をのせ、冷暗所で保管する。梅酢が上がり切るまでは一日に一回やさしく混ぜて、上下の梅を入れ替える。※ 梅酢があがり切るのは、早ければ一日。遅くても3日までにはしっかりと上がり切ることが多い。
- 待つ:梅酢が上がりきったら、重石を半分の量に減らす。7月20日から8月7日頃の夏土用(年間で最も暑く、日差しが強い時期)まで漬け込んでおく。※ 柔らかい梅は長めに漬けて、皮がしっかりしてきた頃8月下旬や9月に干すといい。※ 梅をつけ始まってから少なくとも1ヶ月ほどつけると、塩が梅の実に行き渡り、皮がしまってくる。その時までじっくりと待つのがポイント。
梅干しを干す
- 並べる:晴天が3日以上続く日を選び、梅をザルや網に重ならないように並べる。※ 風通しがよく、直射日光が当たる場所が理想。※ 梅酢は瓶に保存し、料理に活用。
- 干す:1日目・2日目は夜は室内へ。3日目の夜は軒下に出したまま夜露に当てると、しっとり皮が柔らかく仕上がる。※ 干す間は、梅一粒一粒の表面をまんべんなく乾かすため、上下をひっくり返すことを忘れずに。朝外へ出すときにひっくり返すと、網からはがれやすく、皮が破けるのを防ぐことができる。
- 保存する:4日目の朝に、干し終えた梅を清潔な保存容器に移して常温で保存する。1ヶ月ほど熟成させたらできあがり(すぐに食べることもできるが、熟成させると塩気がマイルドに)。保存容器は陶器やガラス製がおすすめ。
Notes
▶︎ 梅は完熟梅を
まだ未熟な青い梅、硬い梅は梅酢が上がりにくい。だから必ず完熟梅を使うこと。 完熟前の梅は、以下の方法で追熟を:- 梅同士が重ならないように皿やザルに並べる。
- 風通しの良い冷暗所において数日待つ。
- 余裕があれば、一日に一回上下をひっくり返すと、湿っぽくならずにすむ。
☕️ おわりに
梅干し作りが終わったころ、ちょうどシソの実が実り始めた。赤しそと青しその実でそれぞれ塩漬けを作り、ちょうどその頃旬を迎えたえごまの葉では、ふりかけを仕込んだ。
夏には赤しそでゆかり風ふりかけも作った。これも青しそで作っても美味しい。
爽やかな香りに包まれながらの季節の手仕事は、手間はかかるけれど、五感で季節を感じられる贅沢な時間。来年はさらにいろいろな手仕事に挑戦するつもりだ。
さて、次はどんな手仕事が待っているだろう。

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